インカジ詐欺@銀座

バカラ賭博の「負け客勧誘で報酬」…勝ったら「損失補填」新手詐欺のワナ

警視庁の捜査で新手の詐欺集団が摘発された。詐欺の疑いで逮捕された男らは、バカラ賭博による損失補填(ほてん)を名目に金品をだまし取るというこれまでにない手口で犯行を重ねていた。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で“獲物”を物色。バカラ台などの舞台装置を用意した上で、ディーラーや客などさまざまな役柄を演じて被害者から金品を巻き上げていた。

■「損失補填」と偽る詐欺。相次ぐ被害の総額は1200万円

「男たちは被害者を信じ込ませるためにさまざまな仕掛けを用意していた。実に手の込んだ詐欺だ」

捜査幹部は、警視庁組織犯罪対策特別捜査隊が摘発した事件についてこう振り返る。

詐欺容疑で逮捕されたのはいずれも無職の31歳から36歳の男ら4人。

4人は昨年9月、バカラ賭博の損失補填と偽って、都内に住むアルバイトの男性(27)から現金とスマートフォンなど50万円相当の金品をだまし取った疑いがあるという。

すでに別の複数の被害者への詐欺容疑でも逮捕・起訴されており、逮捕は4回目。平成27年3月から昨年11月までに都内や神奈川県内で同様の被害が続発しており、「関与が疑われる被害は約10件、被害総額は計1200万円に上る」(捜査関係者)という。

■見知らぬ男からのメールが詐欺への入口

「初めまして、仕事の関係で○×に引っ越しすることになりました」

昨年8月、被害者の男性に見知らぬ男からこんなメールが届いた。

メールの受信先は、男性がインターネットの会員制交流サイトに公開していたメールアドレス。文面はこう続いていた。

「僕は今まで仕事ばかりしてきたので、正直、友だちがいません。これからは遊びも充実しながら生きていこうと思います」

興味を引かれた男性は男に返信。1カ月ほどメッセージのやり取りを続けて意気投合した2人は東京・銀座で会うことになった。

待ち合わせ場所に現れた男は高級ブランド品を身につけ、「いかにも羽振りが良さそうな身なり」(捜査関係者)だったという。

気前よく食事をごちそうした男は男性と再会を約束する。落ち合ったのは観光客でにぎわう東京・浅草の雷門。男は会うなり、「面白い所がある」と男性を雷門からほど近いマンスリーマンションに案内した。

6帖の部屋にはバカラ台が置かれ、カードを配るディーラーや客もいた。

「俺らはこれでもうけてる」。そう自慢げに話した男こそ、警視庁が詐欺容疑で逮捕した4人組の一人で犯行を主導していた35歳の男だった。

■絶対負けないはずが…。被害者が直面した“想定外”の事態

店に居合わせた別の男に誘われて店外に出た男性に男は「店は絶対に負けない仕組みになっている」と打ち明けた。そして、こう畳みかけたという。「男は店に客を紹介したら客が負けた分の10%が報酬としてもらえる。逆に客が勝てば補填しなければいけないと説明。その上で『一緒に紹介者にならないか』と持ち掛けた」(捜査関係者)

店内にいたのは男が連れてきた客で、その時点でかなり負けが込んでいた。

紹介者になるだけでお金がもらえるなら-。誘いに乗った男性だったが、店に戻ると、そこでは“想定外”の事態が起きていた。

絶対に勝てないはずの客が勝ち続け、最終的に300万円の利益を上げていた。店側は、客に負けた分の損失補填を理由に現金の支払いを要求した。

追い詰められた男性は、手持ちの現金のほか、スマートフォン、タブレット端末など計50万円分の金品を支払わされたという。

一見、不幸な偶然が重なって起きた賭博場でのトラブルのようだが、内情は違った。男性が連れ込まれたバカラ店は実際には営業しておらず、男性を誘い出した35歳の男をはじめ、客やディーラーなど店内にいた人間は全員グル。すべてが男性をだますための舞台装置だったのだ。

詐欺団のメンバーは、いずれも名古屋市内のカジノ店で勤務していたことがあり、当時の経験を元に犯行を着想。同じ手口での犯行を繰り返し、1千万円超を荒稼ぎしたという。

捜査関係者は、「詐欺団が狙ったのは、いずれも20代後半から30代前半の同年代の男性。ターゲットを絞って巧妙に仕掛けた犯罪だ。だまされた被害者が被害に気付きにくい点もより悪質性が高いといえる」と話している。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする